有機ELパネル市場は2011年、飛躍的に成長し、45億米ドル(このうち42億米ドルがアクティブ・マトリクス方式)に達する見込みだ(図1)。2011年が有機ELパネルの立ち上がり元年となったのは、韓国のSamsung Mobile Display(SMD)社がアクティブ・マトリクス駆動有機ELパネルの第5.5世代ラインでの本格量産を開始したためである。有機ELパネル市場は今後も成長を続け、2016年に200億米ドル以上(2012年以降、パッシブ・マトリクス方式は3億米ドルを占める)の規模に達する。
2011年のアクティブ・マトリクス方式の42億米ドルのうち、40億米ドルがスマートフォン向けである。有機ELパネル市場の牽引役は当面スマートフォンである。さらに、デジタル・スチル・カメラやゲーム機など中小型分野で用途を拡大し、2012年前半にはタブレット端末向けで8型級サイズが製品化、2012年後半にはテレビ向けで55型サイズが製品化される見込みだ。長期的には、特にタブレット端末や大型テレビへの浸透が注目される(
詳細レポートはこちらから)。テレビ市場への普及の開始は、第8.5世代量産ラインが立ち上がる2013年以降となる。
有機ELパネルの技術的課題としては、高精細化が挙げられる。スマートフォン向けパネルでは、2011年現在、低温多結晶Si TFT液晶パネルの主力が3.5型960×640画素(330ppi)であるのに対して、有機ELパネルの場合は4.0型800×480画素(233ppi)である。精細度では、有機ELは低温多結晶Si TFT液晶より劣っている。
このほかにも、有機ELパネルには技術面でさまざまな課題や問題点がある。有機ELパネルのバックプレーンは現在のところ低温多結晶Si TFT基板が採用されているが、酸化物半導体の採用が検討されている。技術的課題である蒸着方式に関しては、さまざまな方法の開発が進められている。フレキシブル有機ELパネルの開発動向も注目ポイントである。テレビ用では、電流駆動、消費電力、視野角、寿命、白色有機ELなど多くの技術的課題はまだ山積みである。
なお、これらディスプレイ産業全般の最新分析および将来予測は、2012年1月25日(水)〜26日(木)に開催される
「第22回ディスプレイサーチフォーラム」(詳細情報はこちらから)にて詳しくデータ解説する予定である。記念企画として、開催前に複数回のコラム寄稿を予定している。
田村 喜男
※12月05日に日経Tech-On!に掲載された寄稿文を基に構成しています。